呼吸器の病気ガイド
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気管支ぜんそく

気管支ぜんそくについて

一説によると、この20年で2~3倍も増えていると…と言われるのが「気管支ぜんそく」です。しかし、「増えてはいますが、重篤な発作を起こして救急搬送されたり、入院する患者さんは減少しています」と国立系の専門病院院長A先生は言います。これはどういう事なのでしょう?以下で説明していきたいと思います。

かつては死亡に至る危険な病気だった

気管支ぜんそく(以下、ぜんそく)は、気管支が収縮を起こし、呼吸が困難になり、
ヒューヒューゼイゼイという喘鳴がある病気です。

ぜんそく患者の気道は、症状がないときでも慢性的に炎症を起こしており、健康な人に比
べて気道が狭く空気が通りにくくとても敏感になっています。
そのため、正常な気道ならなんともないホコリやタバコなどのアレルゲン(アレルギーを
引き起こす物質)やストレスなど、わずかな刺激でも収縮し、発作が起きてしまうのです。

「子どもの病気」というイメージを持つ方も多いと思いますが、最近は成人にも少なくなく、
必ずしもアレルギー体質の人だけがかかるとも限りません。
またかつては発作から死亡に至るケースが多かったのですが、今は治療法の進歩により重
篤なケースは激減しています。

それでは、なぜ気管支ぜんそくの患者が増えているのでしょう。
原因として、よく言われるのは「衛生仮説」です。
衛生仮説はぜんそくだけでなく、アレルギー疾患全体について言われています。
これは簡単に言ってしまうと
「環境が衛生的になり子供のころに感染する機会が減ったことがアレルギー性疾患の増加
の原因である」という学説です。

実際、兄弟が多い家庭では、免疫を鍛える物質が増えることが指摘されているとのことです。
末のこどもでは、兄や姉から胃腸炎や風邪をもらいやすく、これらを克服しながら、体が
丈夫になるため、末のこどものアレルギー発症が少ないのではないか?と言われているのです。
言い換えると「過保護はいけない」ということでしょうか。

正確な診断は案外むずかしい

自分、もしくはお子さんがぜんそくかどうか、受診する前のチェック項目には、以下のようなものがあります。

ぜんそくチェック

□たんがからんで呼吸が苦しくなることがある
□急に息ができなくなり、ゼーゼー、ヒューヒューとのどを鳴らす発作が起きる
□発作は夜寝ているときや早朝に起きる
□こういった発作がくり返し起こる
□アレルギー体質だ
□たばこの煙や冷たい空気などに触れると、せき込んだり呼吸困難になったりする
□かぜをひくとすぐにせき込む

なかでも医師が、診断の際に重視するのは、「発作が就寝時や早朝に起きる」ということです。
疑わしいと感じたら、早めに小児科や内科を受診しましょう。

開業医などでの診断は、問診が主体で、
前述のように「夜や早朝になると咳やゼイゼイする」症状がある場合にぜんそくを疑い、
気管支拡張剤を使って症状が改善する場合に、ぜんそくと診断します。(これを、診断的
治療と言います。「病気の診断の検討をし、それに対する治療をしながら経過を観察し、
その治療で効果がみられたら、やはりその診断が正当であったとする診断・治療の方法」
を言います)

咳の原因が、「肺がん」や「心不全」である場合には、気管支拡張剤を用いても、症状は
改善しないことから、鑑別できるのです。

一方専門病院では、気管支が敏感かどうかを診る=気道過敏性検査と痰の中の好酸球(健
康な人の痰には存在しない)の有無を調べる検査によって、診断を確定します。

さらに、同じように咳がでる「肺炎」「肺がん」「肺気腫」「心不全」「逆流性食道炎」
等との鑑別も行います。

ぜんそくはポピュラーな病気ですが、「実は誤診されているケースが多い」と専門病院の
医師は言います。

特に「重症喘息と誤診される」のは特に心因性の症状が多いとのこと。いわゆる有名病院
の専門医でもだまされるほど、ぜんそくそっくりの症状があらわれるそうです。

「正しい診断さえできれば、ぜんそく(様)の症状を取るのはそんなにむずかしくはあり
ません。ですから長い期間治療しても良くならない場合には、診断が間違っているか合併
病態を見逃している可能性があります。たとえば高齢者の方は心不全とぜんそくの両方が
ある場合、普通のドクターはぜんそくしか目に入らず、ぜんそくの治療ばかりしていても
良くなりません。でも心臓の治療を併用するとすっと治るのです」(ある専門医)

「発作を止める」から、「予防する」へ変化

ぜんそくの治療は、この10年ぐらいで大きく変化しています。
以前は、症状や発作が起きた場合の治療が主流でしたが、昨今は、発作や症状が起こらな
いようにする事を第一に、予防的な治療が主に行われています。
「お陰で、発作を起こして入院や死に至る患者は激減しました。ぜんそく患者は昔と比べ
て増えていますが、国の保険負担が増えていません。それは医療費がかさむ、重篤患者が
減っているからなんです」
と冒頭のA先生は言っていました。

症状が起こらないようにする治療には、慢性の気道の炎症をおさえる「吸入ステロイド薬」を用います。
また、気道を広げ呼吸を楽にする長時間作用性β2刺激薬が一緒に吸入できる配合剤も使用
されることもあります。

多くの患者は、上記の2種類の服用で、問題なく病気をコントロールしています。
それでも症状が起きてしまった場合には、狭くなった気道をすみやかに広げる短時間作用
性吸入β2刺激薬などの発作を抑える薬を使います。

子どものぜんそくは、成長するにつれてよくなる場合が多いのですが、大人のぜんそくは
治らないと言われています。

「治療の目的は完治ではなく、発作が起きないようコントロールすることにあるため、症
状がなくても、薬服用をしっかりと続けることが=自己コントロールが重要です」(A先
生)

まとめ

ぜんそく患者は増加していますが、その割に、悪化させて入院したり命を落とす患者は減
っています。それは治療法の変化が大きいようです。

◎原因の有力な説は「衛生仮説」。過保護はぜんそくのもと?
◎診断はむずかしく、誤診も多い。治療しても症状が改善しない場合は専門医へ
◎治療法は、「発作に対応するのではなく、発作を起こさせないようコントロールする」
へシフト

以上の3点を覚えておいてください。

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