呼吸器の病気ガイド
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肺気腫

肺気腫について

息切れ、咳、痰が激しく、痩せてくる病気、「肺気腫」。近年は、「慢性気管支炎」と「肺気腫」の2つを総称して「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼ばれるようになっていますが、医療の現場では「肺気腫」のほうが知名度は高いようです。

肺気腫

原因は喫煙習慣

肺気腫は、主として喫煙習慣が原因で発症し、呼吸機能が低下していく肺の病気です。
呼吸細気管支と肺胞(酸素と二酸化炭素を交換する組織)が拡張し、破壊されるせいで、息を吸うときには、肺に空気が入っていきますが、吐き出すときにうまく空気が肺から出て行かなくなります。

徐々に進行し、肺胞が拡張と破壊を繰り返すと、ブラという袋を形成してしまい、正常の肺の血管が細くなったり、肺全体が膨張し、呼吸筋である横隔膜を押し下げたり、心臓を圧迫したりするようになり、やがて自分のペースで平地を歩いていても,安静にしていても呼吸困難を生じるようになってしまう、非常に苦しい病気です。

患者の90%以上は男性で、喫煙者。喫煙者であれば2割程度は罹患するといわれていることから『タバコ病』の異名も持っています。
ちなみに他の原因には受動喫煙 、大気汚染などがあります。
初期症状は咳や痰などで、風邪が長引いていると感じているうちに悪化し、強い息切れから呼吸困難に陥り、最終的には死に至ることもあります。

著名人では2011年12月31日、バレーボール男子日本代表監督として1972年ミュンヘン五輪で金メダルを獲得した松平康隆氏が肺気腫で亡くなっています。

関係者の間では、死因を「肺気腫」と公表したことに、元監督の遺志が感じられると言われています。
通常は、「呼吸不全」とか「多臓器不全」と発表されるのが普通だからです。
それをあえてタバコ病である「肺気腫」としたのは、「みんな、タバコやめろよ」というメッセージだったのでは、というのです。

推定患者数は500万~700万人

「COPD全体としての、日本の推定患者数は500万~700万人にのぼると考えられますが、
そのうち正しく診断され、必要な治療やアドバイスを受けている患者さんは、
わずか20数万人しかおらず、多くは見過ごされているのが現状です」

『肺の生活習慣病』(中公新書)という著書もあり、COPD治療に長年尽力してきた日本医科大学呼吸ケアクリニックの所長、木田厚瑞医師はそう嘆いています。

かつて東京都長寿医療センター(旧東京都老人医療センター)の呼吸器科部長を務めていた木田医師は、「放置されて重症化し、手遅れになったケースを数多く目の当たりにしてきた」というのです。

さらにこの病は「骨そしょう症」や「肺がん」など、多くの他の病気を呼び寄せることも問題になっています。
手足の筋肉が細くなって力が弱くなり、心臓病や脳卒中の合併が多くなるほか、
落ち込みが多くなり患者の半数は「うつ状態」といわれています。

だいぶ前のことですがNHKの【ためしてガッテン】という番組ではこの病気を「肺・気管支ボロボロ病」ではなく、「脳 骨ボロボロ病」と命名していました。
肺の生活習慣病ではありますが、その症状は全身におよぶのです。

「年のせい」と見逃されることも多い

「年のせい」と見逃されることも多い

治療で重要なのは正しい診断。「年のせい」と間違えられないよう、患者自身も注意が必要です。以下の項目があてはまる場合は、肺気腫を疑い、気を付けてみてくれる医師を探しましょう。

肺気腫セルフチェック

□ 毎日のように、何度も咳が出る
□ 毎日のように、痰が出る
□同年齢の人に比べて、息切れしやすい
□40 歳以上である
□タバコを吸っているか、以前吸っていた

3つ以上あてはまる場合は、かかりつけの医師に相談し、簡単な呼吸機能検査を受けてください。

確定診断では、スパイロメトリーという肺機能検査をきちんと行うことが重要です。

これによって肺が空気を最大に吸いこみ吐き出せる量や吐き出す速さを測定し、病気の重症度を診断します。
食事制限などの事前準備が必要なく、手軽に受けられる検査ですから、面倒がらずに気軽に受けてみてください。
検査は他に胸部レントゲンやCT、肺血流シンチグラムなどの検査が必要に応じて行われます。

治療法は大きく分けて以下の6種類があります。

◎病気についてよく理解するためのカウンセリングを受ける。
◎完全禁煙をする。これは絶対に必要。なぜなら肺気腫の進行をくい止めることのできる治療は現時点では禁煙のみと言われているからです。実際禁煙のみでも咳、たん、息切れといった症状は驚くほど改善するといわれています。
※自分ではやめられない場合は、禁煙外来を受診してみるのもおススメです。
◎気管支を拡張させる吸入コリン薬、長時間作用型や短時間作業型のβ2刺激藥、吸入ステロイド薬などによる「薬物療法」
◎全身を動かす「運動療法」
◎「栄養療法」
◎「増悪(病気の一時的な悪化)を防ぐための風邪の早期治療やワクチン接種」

治療は、単に呼吸器の病気としてではなく、循環器や筋肉・骨格、心理面など、「全身の病気」としてとらえ、治療することが必要です。
また、病気を重篤化させないためには、日常生活の自己管理をしっかりと行い、他の生活習慣病を合併させないことが大切なので、肺気腫以外の病気もきちんと診断・治療ができる病院や医師を選ぶようにしましょう。

まとめ

「肺気腫」は最終的には死に至ることもある恐ろしい病ですから、疑わしくは急いで受診してください。

◎最大の原因は「喫煙習慣」。別名「タバコ病」とも呼ばれる
◎「年のせい」と見逃されているケースが多いので要注意
◎治療は「まず禁煙」
◎肺気腫だけでなく、全身を診てくれる医師を選ぼう

以上の4点を覚えておいてください。

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