呼吸器の病気ガイド
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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

Rさんは、メーカー管理職の夫を持つ52歳の主婦です。このところ、50代の夫のいびきが気になっていました。20代の頃はいびきとは無縁だった夫。あまりに静か過ぎて、本当に隣にいるのか布団をまくって確かめたほどでした。「まぁ、年だから仕方ないか」と思っていたのですが、このところ妙に音が大きく、ガァー、ガアーと地響きのような音を立て、一瞬ぴたっと止まります。20~30秒静かになったと思ったら、再びいびきが…。「ねぇ、あなた寝ているとき、息止まってるみたいよ」夫は聞く耳ももちません。寝ているので仕方ないのですが、自分がいびきをかいている自覚すらないのです。「すごい音だよ」といってもどこ吹く風。しかしそれは唐突に起こりました。ある日、職場で倒れたのです。目が覚めたとき、夫には右手右足の自由がありませんでした。「脳梗塞」です。Rさんの懸命なサポートと本人の努力の賜物で、なんとか手足は動くようになりましたが、仕事は当然退職。今でも後遺症があります。Rさんの主治医は、「睡眠時無呼吸症候群」はなかったかとたずねました。睡眠中に呼吸停止を伴ういびきをかくこの症状は、Rさんの夫のような壮年男性におおく、心筋梗塞などのリスクを通常より2から5倍も高めるのだといわれました。Rさんは夫の睡眠時に確かに呼吸停止があったことを思い出したのでした。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群とは

「いびきなんて誰でもかくだろう」と思っていませんか?
実はいびきには「良いいびき」と「悪いいびき」があります。

「悪いいびき」を放置すると、前出のRさんの夫のように「睡眠時無呼吸症候群」を併発します。
この症候群のおそろしいところは、知らぬ間にあらゆる病気のリスクが高まるところにあります。
結果として、死亡率が健康な人のなんと3倍以上も高まることが分かっています。
働き盛りの50代男性に圧倒的に多く、推定患者数は300万人と言われています。
この症候群にかかると、睡眠中、数回から数百回の呼吸停止を繰り返します。もちろん熟睡は得られません。またふつう、睡眠中は血圧や心拍が落ち着くものですが、
頻繁な呼吸停止のため酸素不足に陥り、血圧心拍ともに上昇し、心臓や血管に大きな負荷をかけることに繋がります。このため、脳卒中や心筋梗塞、高血圧などのリスクが高まることになるのです。

また、通常睡眠中に放出されるホルモンの分泌が大きく乱れるために、脂質の分解能力が低下して糖尿病になりやすくなったり、
抵抗力の低下から風邪など引きやすく、年中体調が冴えないということが起こります。
また、脳に十分な酸素が行き渡らないので、脳が休息できず、日中の集中力の低下や疲れ、だるさも招きます。
まさしく、知らぬは本人ばかり。あなたの睡眠中に潜む、諸悪の根源なのです。

チェックリスト

チェックリスト

「寝てるときのことなんて分からない」と考えるのは早計です。
実は、日中にも結構症状は現れているのです。以下のリストで当てはまるものが無いか探してみてください。

・日中、いつも眠い。居眠りをしてしまう。
・いつもだるい、疲れやすい。
・ここ一番で、仕事に集中できない。
・夜中に突然目が覚めてしまう。
・トイレに何度も起きる。
・やけに口が渇く。
・いつも胸やけがする。
・いびきかいているといわれる。
・寝ているとき、息が止まっているといわれる。
・インポテンツのような気がする。
・鼻の通りが悪いほうだ。

上記の3つ以上当てはまるなら、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

原因

なぜ、睡眠中に呼吸が止まってしまうのでしょう。大きな原因として「睡眠中の気道閉塞」があげられます。空気の通り道である気道が狭くなってしまうことで、呼吸困難や呼吸停止が起こるのです。
ひとつの原因が「肥満」です。肥満になると当然喉の周りにも脂肪がつくために、空気の通り道が狭くなってしまいます。
また、「仰向けで寝ること」で喉の奥の舌の付け根が下がりやすくなります。これも、気道を狭めるひとつの原因となります。
他に、女性より男性に多い理由として、「ホルモンの影響」が考えられます。前立腺障害の治療ために男性ホルモンを投与すると、睡眠時無呼吸症候群が悪化することが知られて
います。まさに、「壮年男性を襲う夢魔」なのです。

検査

眠っているときに症状が現れるので、検査も眠っているときに行われることになります。

・睡眠ポリグラム検査
なんだか怖そうな名前ですが、要は寝ているときにいろいろな計器をつけて体を調べる検査になります。「そんなの付けていたら眠れない」という声が聞こえてきそうですが、これが意外と眠れるようです。ただ、病院での検査なのでなかなか敷居が高いかもしれません。そんな場合は、自宅用の簡易ポリグラム検査を借りることもできます。
これで、実際に呼吸がどれくらい停止しているかを調べることができます。

対策

実際に検査をすると、症状に応じて治療が開始となります。場合によっては、睡眠中に酸素マスクのようなものを装着することになることもあります。それ以外に今日からできる対策としては以下のものが挙げられます。

減量

軽い症状であれば、減量するだけでぐっと楽になることが多いようです。肥満自体が、心臓の負担や高血圧などを招きやすいので、生活習慣病の予防の意味からも、やはり減量は大切です。

寝酒、深酒はやめる

飲酒後はいびきをかきやすいので、呼吸が止まりやすくなります。また、飲酒時は全身が脱力しやすいので、当然喉の筋力も弱まり、空気の通り道を狭くしがちです。

飲酒そのものも、睡眠の質の低下を招くのでせめて眠る5時間前には呑み終えたほうがよいといわれています。同じ理由で、睡眠薬などの使用も避けたほうが無難です。

横向きで寝る

なかなか眠る姿勢は改善しにくいのですが、仰向けで眠るとどうしても喉が閉じやすくなるので、横向きが推奨されています。

鼻つまりを直す

鼻が詰まっているだけで、空気の通り道をひとつなくしてしまうことになります。副鼻腔炎など、常に鼻が詰まっている場合は治療を受けることをお勧めします。そこまで重症でない場合や花粉症などである季節だけ、という場合は、夜間中に鼻の通り道を広げるシールやテープがあるので、そういったものを利用するのもいいでしょう。ぺたっと貼るだけで、楽になることも多いようです。

まとめ

「いびきの怖さ」、はお分かりいただけたでしょうか?
最後にもう一度チェックしてみましょう。

・日中の眠気、だるさ、集中力の低下はありませんか。
・いびきをしていないか、家人に聞いてしましょう。
・寝酒、ナイトキャップは壮年男性の敵。眠る前はほどほどに。
・肥満解消は元気なうちに取り組みましょう。

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